- 2005年6月 2日 12:11
- アトピー
NTTコミュニケーションズは、インターネットと「香り発生装置」を利用して自宅でアロマテラピーを学習できる「アロマコミュニケーションモニターレッスン」を開始すると発表した。など、ありえないと思っていることや、SF小説や映画などの娯楽作品で出てくるような未来志向の道具、社会基盤などが続々と実用化されたり具体化されていく過程がニュースで日々飛び込んでくる。以下も同じようなアプローチの中でも既存のモノで実現できるという意味では一見面白い取り組みに見える。
少し前に自宅近くの女子大の学園祭で、町の福祉団体が「高齢者疑似体験コーナー」というのを催していました。このコラムの中に出てくる福祉団体の人の頭の中はお花畑でいっぱいだよなあと感じて読み進めていたのだが、このコラムを書いている方もやはり私と同じことが引っかかっているようで、後半を読み進めていくと重要な洞察がされていた。
その中身は、小学生を対象におもりのついた服を着せたり、子供の手足におもりが埋め込んであるサポーターを巻くというものでした。
さらには、視界が極端に狭くなるサングラスというのもありました。
何のためにこういう「体験機会」を設けるのかをコーナーの主催者に尋ねたところ、担当の女性から次の回答が返ってきました。「こういう体験によって子供に高齢者へのいたわりの気持ちが湧くのです」
その言葉が、福祉団体の何の悪意もなさそうな女性のものだったので、逆にこうした疑似体験の落とし穴を強く感じざるを得ませんでした。
「いたわる」という言葉は、岩波国語辞典によれば、「老人や子供や弱い人などに同情して親切・大事にあつかう」とされています。高齢者は少なくとも社会のお手本となる重要な経験をたくさん積んだ魅力的で立派な人ばかりだという前提であればの話で、これも少し差し引いて考える必要もあると思うし、実際は我が両親を含めて目に余る不良老人もいるもので、要はいろんな人がいるということには変わりない。この表現からも明らかなように、「いたわる」という言葉は、老人や子供や弱い人「以外の人」の視点での言葉なのです。
子供が高齢者と接したくなるのは、むしろ、子供にとって良い意味での「メリット」があるからではないでしょうか。
一緒に遊んでくれる。話が面白く、ためになる。威厳があって格好いい。そばにいると何とも楽しい。
こうした人間としての魅力にあふれた高齢者と接する「実体験」の方が、高齢者疑似体験よりもはるかに子供の成長につながることでしょう。
(らくだのひとりこと:席を譲らなかった若者を参照されたし。これはこれで考えさせられる。正直この啖呵をきった若者に座布団100枚くらいあげたいし、こういうじいさんになりたくないというのが私の正直なところ。)
嫌でも社会適応しつつ生きていかねばならないのは健康な人も病気もちの人も条件は同じであろう。
仮に「アトピーの痒みを体験できる」装置があったとする。これで実体験できたとしても、それが持続するのはこの装置を使っている時に限定され、やはり当事者としての実感を持ってもらえる可能性は低いかもしれない。
また、語弊があるかもしれないが、ホラー映画などで使われているSFX技術を駆使して、アトピーの人の重症状態を再現した人工の肌を顔や首、腕や足などの露出する部分に貼り付けて抜き打ちで一週間通勤、通学して貰うという試みができたとして、その人がアトピー患者の当事者的感覚を得ることができるかはやはり疑問が残る。
我々はアトピーになりたくてなった訳ではないし、一般の人もアトピーになりたいとは思わないだろう。
自分のことを他人に知ってもらうことは高齢者や病気を抱えた弱者と呼ばれる人だけの特権ではない。一般の人よりも社会適応する為のハードルが大きいからこそ、その分知ってもらう努力は嫌でも必要なのは仕方ない。どうせならそれが苦痛にならずにできる方法、道具、環境というのは自分の好奇心や価値観で何とでもなる。
悲壮感だけではなく、それでも生きていけるという事実、小さく少ないながらもささやかな楽しかったこと、面白かったこと、今後楽しみと感じることなど、アトピー患者の当事者として共有できることはたくさんあるはずだ。
関連エントリ:
こうべUD広場UD連続講座第四回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第三回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第二回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第一回(全六回)メモ
アトピー的コレクションの遂行課題雑感
kobe hyogo 2005 夢基金プロジェクト遂行に伴うアトピー的コレクションプロジェクトスタッフ募集
ユニバーサルデザインとバリアフリー
アトピーに無駄金を使わないようにできないものか?
参考:↓今回引用、紹介したコラムとあわせて考えさせられる
らくだのひとりこと:席を譲らなかった若者
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