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アトピー患者2.0へ

昨日はアトピー的コレクションのイベントに参加してきましたが、KOBE HYOGO2005の第ニ期プロジェクトとして認定されてから当初思い描いていたことを、マスターベーションでしかないのですが、備忘録としてこの一年間を少し自分なりに振り返ってみましょう。IT関連に明るい方々の世界ではWeb2.0に関する議論があちこちでなされていますが、我々は「アトピー患者2.0」のみならず、その先の3.0→10.0まで見越したあるべき姿も模索していかねばと思う今日この頃です。実は昨夜このエントリーを書いておきたかったのですが、この一年のまとめ読みということで以下長文ですが閲覧頂ければ幸いです。



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ダウンロード:rec-20060313-1600.mp3

[mp3:http://www.atopic-info.com/archives/podcast/rec-20060313-1600.mp3:アトピー患者2.0へ] (1)KOBE HYOGO2005応募前夜:「あんたのためじゃない、自分のためです」

昨今に始まった訳ではないが、アトピーは格好のカモで上記引用中の「○○」にアトピーを当てはめた商品もわんさかある訳だ。

私の場合毎日頼みもしないスパムメールが200から300通は届くが、やれ「バイアグラを買え」だのという大きなお世話の命令調の英文メールなどで大切なメールが埋もれてしまっている。
この状況はwebの世界でも例外なくおきているが、なんとかならんもんかいなと思う。その規制、自サイトでのリンク規制やトラックバック規制が難しい。かくいう私もアマゾンでのアフィリエイトに参加しているし、IT関連の紹介はためらいなく自分のblogででもアフィリエイトつきのエントリとして書けるのだが、「アトピーグッズの広告へ誘導されるだけでも嫌だ」と思う度合いは勝手ながら私は強いかもしれない。
戦争中に相手に「なんで銃で撃ってくるねん」ということのナンセンスさと自分の思考パターンが重なる時もあるのだが、う~ん、難しい。

上記エントリーを書いたのが2004年10月25日。ちょうどKOBE HYOGO2005の夢基金にアトピー的自由計画として助成金申請をするか意見調整していた時期。人も少ない、本業の仕事は忙しいのに余計な作業負荷を増やすようなことはやめてくれよと、私はこの時点では一貫して「反対」の立場をとりました。また、我々自身がアトピービジネスの業者に手を貸すことになるのではという懸念があったこと、そして、NPO/NGOとしてアトピー的自由計画でフルタイムで働くということに自分の時間を割く気はなく、あくまで貴重な休日の一部を泣く泣くくれてやっているんだぞというスタンスは崩したくなかったからです。聞こえは悪いかもしれませんが、やはり自分の時間あっての作業時間の捻出である訳です。正義感・使命感・自己犠牲の精神だけでは生きてはいけません。そして、ではなぜ関わるの?ということになりますが、それは「自分の為」に何某かのメリットがあると思うからに他なりません。メリットには、カネだったり名声だったりいろんなものがあると思いますが、私の場合には、「アトピーである自分に利益がもたらされることなのか」→「自分にとって利益になるか?」ということです。このエゴに忠実である生き方を私は崩したくなかったし、今でもこれは原点だと思っています。

また、これは自分にとっては最も大切な線引きだと思っています。

ボランティアとして時間、作業を提供できる時間が自分の生活時間の中に占める割合が多くなるというのは、本業及び休息の時間をおろそかにするので本来の自分の仕事、余暇という区分が曖昧になっていくのは絶対に納得ができず、本業の就労時間ではなく、あくまでも余暇の一部を削り、業務時間・役務を捻出しているのだということはきちんと主張する必要があり、その貴重な時間、作業負荷を決して安売りはしたくなかったからです。(当然ながら、参加する物事に対して手は抜かないという前提です。)これはいろんなNPO/NGOのあり方やNPO/NGOに関わる姿勢としては望ましくないのかもしれませんが、自分の生活基盤第一優先でしたので、当時の人的資源、外的要因など充分分析してない状況での見切り発車には「待った」をかけ続けました。

これにはもう一つ理由があります。何も考えず、全員が「やってみよう」というのは危険であるという見解も皆共通で、「やめておこう」という立場にたったときに、何がその要因になるのかを慎重に考えるのも必要だったからです。

「情けは人のためならず」という言葉はよく誤用されます。

「人に情けをかけるのはその人のためにはならない」と思っている人が時々いますが、これは誤用の最たるもので、(憐憫、同情は別として)「人に優しく接することで、それは回りまわって自分が困ったとき助けてもらえることもある。要はお互い様。」が正しいはずです。裏を返して、強迫観念で嫌々やるというスタンスは好まないのと、やはり自分にとってメリットが見えてくることでないと取り組む気がしないという単純なモティベーションレベルでの考え方でもあります。そして、「これに時間をかけて見えてくるメリットは何?我々がやらなきゃいけない理由は?」これはこの時点では残念ながら全く見えませんでした。結局、メリット、デメリット、我々でどこまでできそうなのかなどを自分の中でも整理する時間がまだまだ必要でした。

(2)KOBE HYOGO2005応募前夜:まだまだ悩む

各メーカーや販売に携わる業者が「アトピーの人向け」という概念の製品を成熟させていけば(仮にバリアフリーになるような製品を世に送り出し)、何年かたてば、それはユニバーサルデザインな製品に統合されるのだろうか?そもそもそういうゴールや目標をおいているのだろうか?と思うのである。
ところがである。ここでもっと悩むのは、アトピー患者としての自分は、「こんなんがほしいんです。」ということを適切に業者に伝えることができているのか?ということも今後逆に問われることもありうる。一般消費者、あるいはアトピー患者がメリットを受けるような製品化に貢献できるような我々にしかわからないニーズをメーカーに伝えることが必要になる訳だが、その行為が自分の中ではまだまだ「安易に我々がそういうニーズという情報をくれてやっても安心な社会構造ではないよなあ。。。」という思いが同時にあるのだ。

「一般の人にとって安全で快適な生活をもたらす良い品物であれば、アトピーの人にとっても同じくそうである(あるいはそうであろう)」 という最大公約数的な製品、つまり誰もが毎日使い、買い足す必要がある製品そのものは、特にこうあるべきであると感じる。つまり、「アトピーの方向け」という概念など不要であるし、そのために一般の人向けの製品よりも付加価値分高額になるというのは成り立たないはずであると思うのだが、これは間違っているのだろうか?(青臭い、小便くさい理想論でもあるのだが、これをアトピーグッズを生産、販売する企業の方に実際のところどうなのか教えてほしいとも思う。)

この時点で2004年11月07日。やはり、我々がある特定のアパレルメーカーや素材メーカーの広告塔に成り下がってしまわないのかという疑念がぬぐえず、私はこの時点でもまだまだ悩んでいました。そして、どう立ち回ればそれが回避できつつ、「アトピー的コレクション」のプロジェクトの活動が意義あるものになるのかを考えていた時期でもあります。多くのメーカー・流通が競争することは勝手にやっていてほしいのと、有難迷惑なセールス攻勢への対応に追われて無駄な対応負荷が増えずに済むこと、今後参加して下さるアトピー患者さんに業者からの売り込みによる消費者被害や、悪徳カルト宗教の勧誘被害に遭わない立場、体制を維持しながらプロジェクトが遂行できうるあるべき姿はどのようなものだろうか?私たちはそういった阻害要因を想定しながら対応策、とるべきスタンスを模索していた時期でもあります。

(3)KOBE HYOGO2005応募前夜:現状の問題点の洗い出し・整理段階

自分のアトピー周辺の現状認識と、患者(あるいは患者の家族)として
  1. 「アトピーのことをもっと知ってもらいたいこと」
  2. 「適切な支援があれば、患者もなんとか将来を見出せるということを伝える必要性があること
を下図のように再度整理してみた。(現状認識レベルだが。図をクリックすると拡大図が別窓で表示されます。)今回のプロジェクトは、図の真ん中の黄色い領域の情報提供のきっかけに位置するものと認識し、図の下の領域を炙り出すきっかけ、及び、その対策として患者が日々知恵を絞っていることを公開することで、「ここまではできる」「ここからは患者個人、家族が自力でがんばっても限界があるので助けて欲しいとこです」ということを世の中の方にも考えて頂くためのプロジェクトあるということを理解する必要がある。

20041213-0.png
多くの協力者、情報が必要になるプロジェクトであり、正直その中で限られた時間のなかで私が関われる範囲はたかが知れているのだが、裏方でサポートできたらと思う。ここから派生するロードマップを別の機会で図示しておきたいと思う。その他概要、詳細はおいおいわかりやすく掲載していきたい。各自のアイデアベースを今後共有、公開しやすい環境を考えねば。。。。情熱、文字だけではこのプロジェクトのやらんとすることは、「単なるファッションシュウでは?」という印象しか伝わらない(私はもしそうであれば、関わる気はゼロ。ではなぜ関わる気になったかも今後きちんと説明できるよう、将来の自分なりの絵図を描いておく必要がある。これもおいおい掲載します。)のと、頭の中にある構想そのものを可視化し、共有しない限り、その構想が重要であっても協力者を得るのは非常に困難である。私も関わろうと決めるまで正直非常に悩んだ経緯からも、意思疎通部分は何とかしたいなあという思いがずっとある。「ここはどうなっているの?」という疑問を持たないのは問題外ではあるが、少なくとも我々はその努力をさらにせねばならない段階に入った。

このエントリーの図は、この時点では我ながらよく整理できたと思っています。しかし、当時こういう思考整理のプロセスを公開し、多方面からの協力を得るように持っていくという、対世間への透明性の視点がアトピー的自由計画の活動には欠けているよなという思いがありました。今、我々がやろうとしていること、壁になっていることをもっと目に見えるように公開すること、世の中と共有する必要性を感じつつ、少ない人数でどのように進めていこうか?という段階に入った時期でもあります。当の私は、このエントリーを書く直前まで、「やり遂げるのも勇気ですが、やらないと判断するのも勇気ですよ」と、参加者にも真剣に考えてもらうよう、やはり「反対」の立場を前提で考えながら、アトピー的自由計画で「アトピー的コレクション」の活動を行なうという決定事項に対して、「ではどのようにやっていけばできそうか」を整理しながら腹をくくった時期でもありました。

個人としては、アトピー的コレクションというプロジェクトにはこの時点でも全く魅力を感じていませんでした。しかし、アトピー的自由計画の活動方針としては、「アトピー的コレクション」を1年間遂行すると決まったからには、自分の行動ポリシー、思想に反しない方向性を探りながら自分が協力可能な担当領域、捻出できる作業範囲を限定し、自分の関わる領域には決して手は抜かないというスタンスでした。よく、失敗を恐れずに伸び伸びやればよいという人がいますが、私はこの他人事のスタンスは好みません。我々の現状はどこに強み、弱みがあるのか?というのが把握・整理できていないなかで場当たり的に伸び伸びダラダラやるという環境は、私には耐えられないからです。必ず成功させねばと力みすぎる必要はないですが、少なくとも「全力は尽くすが、失敗は最小限に」「これなら自分でもできることがありそうだ」というレベルの、自分が関わるという決断をするに足りうる材料、回避できるレベルのリスクだという認識がなければ、決断する意味もないはずです。単に「面白そう」「わくわくする」というノリだけで突っ走るのも好みません。アトピー的自由計画の現状分析をし、自分の中にアトピー的コレクションというプロジェクトに関わる価値が本当にあると判断できるだけの大義名分・メリットなどの材料を自分なりに更に整理する時間が必要でした。

(4)KOBE HYOGO2005応募前夜:やってみるという前提での現状課題分析段階

アトピー的コレクションを実施後に患者はどんなメリットを得るのか?あるいは直接的、間接的に、アトピー患者の自立につながるのだろうか?ということを可視化し公開すべくロードマップを作りかけている。
私としては、
  1. アトピー患者個人に対して物販を行わないプロジェクトであること。
  2. しかし、アトピー患者個人には中長期的にメリットがあると想像できるプロジェクトであること。
  3. 上記メリットとは、(1)を満たしつつ患者が自立できる環境が整っていく、あるいは自力で獲得できる機会が増えることが見えること。
という条件を満たしている活動となってほしいと思うのと同時に、誰が見ても納得できるプロジェクトなのかがもっとわかりやすく見えるようになればいいのになあと思っている。
ちなみに下の画像は、プロジェクトの概要に、短期、中長期の時間軸をつけて、そこから得られると思われる期待効果、あるいは目標を整理してみたものである。(注:この図の見解は、夢基金に提出されたアトピー的コレクションの企画概要を見たり、高山さん出口さんから話を聞いたりしたことを可視化すべくロードマップにしたものだが、私個人の現在の解釈や思い入れが混じっているので、必ずしもアトピー的自由計画の公式見解と合致しているものではないかもしれない。今後の参加下さる方との更なる刷り合わせ等によりブラッシュアップされることを望む。あるいは参加される方それぞれの数のロードマップがあってもよいのかもしれない。)

20050113-1.jpg

ゆっくりではあるが、アトピー的自由計画の公式サイトにもっとわかりやすい文章や資料が今後掲載されていくと思うが、現状は、「こんなのやっていきます。ということで、参加者募集します。」という唐突感が先行しているのかなあと感じている。
時間的に厳しい環境下での意思疎通、刷り合わせは難しいのだが、現在は夢基金の事務局にプロジェクトの活動内容の理解を得ることには成功しているが、次の段階に大切なことは、我々アトピー患者、サイトを訪れる一般の人にもわかりやすく方向性や具体化過程が見えるようになっていることだと思う。しかし、このプロジェクトに参加することで得られるであろう魅力・遂行に伴う課題はまだ見えるようにはなっていないと感じている。下の図は、現在の状況をSWOT分析したものである。

20050113-3.jpg

脅威・弱み(外的要因・内的要因)はサイトの充実・ラジオの有効活用などで克服できそうなものもあれば、我々の心構えやプロジェクトの遂行過程の透明性の確保など、取り組み次第で回避できるものもあるので、その対応策・課題が見えるようにしておくことも重要である。先日の刷りあわせで出てきた主な課題は以下の通り。

  1. web、ラジオ枠など、情報収集、公開用の「箱」や「機能」は少しずつ満たされてきたが、それはあくまで「箱」であり、プロジェクトの参加を促す直接的要因にするには限界がある。webにしてもラジオにしても、連絡、問い合わせいただいたときの一時対応をもう少し大切にすること。また、個々の対応状況が断片化している。対応状況も含めた共有が必要ではないか?
  2. このプロジェクトでメリットを得るべきなのはアトピー的自由計画ではなく、アトピー患者であるのは言うまでもないが、アトピー的自由計画、アトピー的コレクションに参加し、プロジェクトを遂行する過程にある充実感や楽しさという魅力も伝える必要があるのではないか?
  3. そのために必要な要素としていかに「見える」化するのか?ネットを使う部分が占める領域も大きいが、そのために見やすく、わかりやすいwebの画面誘導になっているか?
  4. 総じて、箱はあっても会そのものへの参加しやすい雰囲気をどう作っていくか?
通常、商用・非商用に関わらず、一時対応はwebに関わらず電話やFAX、対面においてもそのフォローがどこまでされているかは重要で、これをもう少し円滑にできるよう、輪番で対応してみようということになった。要は月交代で各自担当し、対応状況を共有するということだ。

ということで、私個人の場合ですが、このあたりの時点でようやくアトピー的コレクションというプロジェクトに関わって、1年間動いてみるかという判断に至ったのでした。

しかし、この時点でもどうしてもやりたくないよなあと思っていたことが1つありました。1年間アトピーと服について考えながら、炙り出されてくる生活上の課題、自力で解決できそうな情報の項目洗い出し、情報の集め方、公開のしかたなどを模索する段階に入った訳ですが、最終成果物として発表するにあたり、「ファッションショーを行なう」ということが唐突に前面に出る場面が目立ち、そんなチャラチャラしたイベントは反対でした。地味でこじんまりしていてもよいので、ファッションショーというものなどはもともとやらない前提での発表会、或いは一般参加者を含めたシンポジウム・或いはパネルディスカッションではなんで駄目なの?ということを考えていました。(今振り返って見ますと、夢基金に助成金申請した企画書などに「ファッションショー」を行なうという文言があったのを見て、ああ、確かにこれはいかん。と今更ながら思うところです。)

プロジェクト内容:アトピー患者が日常から工夫している服のノウハウを、ホームページで募り公開していきます。その声をラジオ番組などでも発表をしていきます。集まった情報をもとに衣裳の製作も行い、ファッションショーを開催します。

(5)こうべUD広場UD連続講座の受講がアトピー的コレクションの活動項目に組み入れられた時期

我々の意識レベルでは、実は昨年夏を過ぎたあたりから、「ファッションショーは無理してやらなくてもちゃんとしたイベントができるかもしれない」「服を作る必要もなく、既存の一般に流通している服周辺の普段の自分の選択・組み合わせを整理・検証するだけでもかなり意義のある活動となる」という認識が定着してきていたのですが、それがいつのまにか「もともとファッションショーをやるとは一言も言っていない」と我々自身で思い込んだまま活動していたなあとも思いますが、結果としてこのプロセスは良かったと思います。ここは助成金獲得に奔走してくれた高山家さんには申し訳なかったと思いますが、最初の企画段階で「ファッションショーはしません。パネルディスカッションかシンポジウム形式で、楽しく分かりやすいイベントをやります。」と言い切る企画で採択されていた方がもっと動きやすかったのかもしれません。(但し、ファッションショーをやらない前提では、第一印象や面白みという意味では採択されていなかったかもしれません。)

なんでみんなファッションショーばっかり口にするんやろと、思い返せばこの一年、ファッションショーの一人歩きをさせないよう繰り返し繰り返しそのエントリーを私は書いていたのも滑稽ですが、このファッションショーなしのイベントとするという着地点に落ち着いたのは、自分のわがままが通せたというよりも、我々のやりたいことは何か?、どのように伝えていかねばならないのか?、できることは何か?、最低限押さえるべきポイントは何か?をじっくり考え、すり合せする時間を作ってみんなで考えた末の自然な流れであったとすれば、あながち自分の当初のファッションショーをするということへの拒否感、自分自身の判断はぶれたものではなかったなと思います。今となって思うに、そういう意味ではこの一年間、高山家さんにはKOBE HYOGO 2005事務局のファッションショーへの期待と、私の「ファッションショーはしない」の板ばさみで苦労をかけてしまいました。

上記プロセスを経て、昨日のイベントが具体化され、無事実施されたわけですが、それまでの間、我々自身も遠回りではありますが、「一般の人も快適に過ごせる服で、アトピーの人も当然同じく快適にすごせる服」という視点に立ったときに、ユニバーサルデザインという概念はどのようなものなのかを少しでも知っておく必要があるということで、アトピー的コレクションのアプローチとしても、ユニバーサルデザイン的な服を意識し始めました。ちょうど一般市民向けの講習が月1回、全部で6回のコースで受講できるということで、この連続講座を受講することも、我々の活動項目に組み入れ、実際私も受講することにしました。これを受講していた時期は、本業の残業が月75時間を超過し、土日も休日出勤していたこともありましたが、現在振り返るによくこれに参加する時間を捻出できたなあと自分では感慨深いものがあります。(皆勤賞を自分で自分に表彰しました。)

こうべUD広場UD連続講座第一回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第ニ回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第三回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第四回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第五回(全六回)メモ
こうべUD広場UD連続講座第六回(全六回)メモ
ここで受講したことが、直接我々のプロジェクトの血となり肉となったといえるかは、目に見えるものはないのですが、上記6回の講習を受講したなかで、アトピー的コレクションの実施内容、最終的に成果発表をする方針が一緒に受講したアトピー的自由計画関係者の中で共有されはじめた時期でもありました。私なりにはこうべUD広場UD連続講座第四回(全六回)メモこうべUD広場UD連続講座第六回(全六回)メモにそれを少し言及しています。

よく、「アトピーの人は、この服を、この下着を、この素材を」と自社製品、ブランド、素材のアピールに終始し、本人の選択の幅を狭めて迷惑をかけてることに気付かないマスターベーションな輩は醜いものだが、これと同じくユニバーサルデザインに携わる人が、「これはユニバーサルデザインではない。バリアフリーだ。」というバリアフリー批判に終始する場面を見ることがあるが、これも同じく見ていてとっても見苦しいと感じるときもある。そのあたりをおさえたコミュニケーションをしっかり意識されている方だなと感じた。

上記を踏まえて、我々も「これはユニバーサルデザインではない。バリアフリーだ。」というバリアフリー批判に終始して議論を空回りさせないようにせねばならないという意味も込めて、こうべUD広場UD連続講座第四回(全六回)メモに掲載しておいた図を敢えてここでも再掲しておきたい。

20050528-26.jpg

この図の基本的考え方を踏まえながら、今はバリアフリー的アプローチであってもユニバーサルデザインに適合できる可能性のある取り組みをされている参考例になるケースはあるという考え方に立ち返ると、今回の出展者の方々との協調も今後できるような気がした。

誰もが快適に衣食住の衣の領域を楽しめるようにという思想は確かにすばらしい。それを現物として世に出すには、少なくとも2つのアプローチがあるのかなとおぼろげながら感じた。

  1. 上記のように、XXの人でも着ることのできる機能、素材、デザインの服を作る。(製品化)
  2. 一般の人が着る服という標準概念に、できるだけXXの人でも着られるという機能を随時取り込み標準概念を発展させる。(既存の標準に取り込む。既知の機能、デザイン、素材に新しいものを追加し続ける)
上記1だけでも悪くはない。また、2は確かにすばらしいが、逆にあまりにもおぼろげ過ぎてそれをイメージすることは難しい。(だからデザインや設計がある。)また、上記2のアプローチも、さらに、基本とオプションに分けて、1のアプローチと組み合わせることで2が組みあがってくるという可能性もある。逆に、万能を目指しているにもかかわらず、誰にも役立たないものになってしまう可能性もあるかもしれない。現実的には1と2が混在しているが、大切なのは、それが手にとってわかるように流通が起きていることと、我々がそれぞれの良さ、改善の余地などを知ること、または選択する時にどんな基準で選択しているのかを知ることかもしれない。

そんなことを感じながら、この展示を見学できたのは面白かった。残念なのは、展示物が殆ど女性用、男性用は一点のみだったこと。男女いずれにも着こなせて、また、我々アトピー患者でも着ることのできるものという展示物はなかったので、リクエストを出しておいた。

一見普通の服。アトピーの人も安心して着られる服と一言で言うと難しいかもしれない。しかし、今私が着ている服にしても、特別に誂えたものではない。カジュアルもフォーマルもだ。私はおっさんなので、そんなおしゃれでもなく、カジュアルはここ数年ユニクロ以外で買うことはない。下着はコンビニのトランクスや靴下、ワイシャツの下にTシャツも着ないことも最近多いが、特別なコットンを使ったものを選んでいるわけでもない。実際これらで十分だから。。。唯一の懸念は、ユニクロが未来永劫存続し、現在のように潤沢に商品が供給され続けるのかということだけである。もし、ユニクロがなくなっても、同類の他社、またはそれの複数が乱立するほうが選択肢も増えてよいとも思う。店頭で手にとって触ってみて、快適に着られると感じて購入するのを決めるときの素材感で無意識にやっていることがひとつある。例えば、YシャツやTシャツを手に取ったときは、裏地を首筋にくっつけてみて、少し掌で押さえて2~3センチこすってみる。これでチクチクしなければ、綿100%でなくとも快適な生地があるものだ。勿論その日の体調にもよる。

同じく、以下のまとめを書く段になって、ようやくアトピー的コレクションで実施すべき項目が少し見えはじめてきたとも言えると思います。

まとめ
およそ半年にわたり受講してきたわけだが、これとアトピー的コレクションとどう結びつくの?と感じられる方もいるかもしれない。今回受講した方々からの話もまとめると、以下のような感じか?

  1. ファッションショーを派手にやる必要はなく、今回のユニバーサルファッションの出展方法のような展示でも十分。
  2. 新しい服を作ることに目が行きがちだが、既知の服、あらゆる生活用品の組み合わせ(タオル、ハンカチ、)の集積、アトピー患者のノウハウの共有、公開ができる環境を整え、細々とでもそれを継続することに意義がある。
  3. 上記選択を自身でできることは職業としても確立する分野となるかもしれない。例えば、ホテルマンにはコンシェルジュ、レストランにはソムリエがいる。服屋さんにはハウスマヌカン(死語?)がいる。

わかりにくいかもしれないが、これらは車の両輪である。また、ブランド化や製品化というものづくりの世界だけの視点だけでも意味がない。特に我々に直接関わるという意味では、上記3はアトピーであれば自身の服の選択そのもののメリットを享受できるし、一般の店頭スタッフが一般の方のみならず、アトピーの方の体調に応じた組み合わせ提案ができるような情報として蓄積する価値はあると考えられる。 私はアトピーの人向けの服とやらは一着も持ってなくても生活できている。同じく、この10年を振り返っても、快適性という観点では何がしかの工夫、選択は自分で行なってきたが、その場面でアトピー専用の衣類という概念、ブランドを押し付けられる生活ほど息苦しくつまらないものはない。

(5)情報収集、蓄積、整理段階

上記こうべUD広場UD連続講座の受講が終わったあとは、実際の服の組み合わせやアイデアの収集の段階に入り、以降はそのためにWebやラジオでの告知などを地道に行ないつつ、集まった情報を高山家さん、たかとりコミュニティセンターの方々によりカテゴライズされて整理されていきました。また、イベントではどのような流れにしていくかということが少しずつ具体化されはじめ、その都度たかとりコミュニティセンター内のデザイナー、FMわぃわぃさんなどにも作業分担がされていきました。この時点での「私たちはこのようなイベントにしたい」という要望と、たかとりコミュニティセンターのリソースなどのマッチング、進捗管理、夢基金事務局との折衝など、高山家さんのコーディネートが占める負荷が大きくなってきた時期でもあると思います。建設的な意見とはいえ、色んな協力者からの 要望や苦言など、ますます板ばさみで大変だったのではと思いますが、この時期をよく乗り切って関係者を引っ張ってくれたと思います。

(6)そして昨日イベントが実施され

こういう紆余曲折を経て、昨日のイベントが実施された訳ですが、前日、当日の準備もたかとりコミュニティセンターの方々のサポートもあり、イベント自体はトラブルなく円滑に実施できたと思います。参加者はイベント関係者を含めて約20名。アットホームなイベントが実施できたと思います。昨夜の帰宅直後のエントリーでも引用しておきましたが、謝辞を以下に引用再掲しておきます。

20060312-0.jpgアトピー的コレクションのイベントは本日無事終了しました。参加くださった方々、協力くださったたかとりコミュニティセンターのスタッフの皆様、有難うございました。

以下、自画自賛ですが、謝辞を続けます。
アトピー的コレクションの企画立案、夢基金へ助成金申請のプレゼン、各種報告などの実務に奔走し、たかとりコミュニティセンターの各NPO、FMわぃわぃさんとの協力関係維持など、今日の実施まで引っ張ってきた代表の高山家さん、アトピー的自由計画 On the Radioの放送収録時にいつもミキサー、途中にはさむ音楽CDの選定、イベントチラシデザインを根気よく担当しその職務をこなされた岡部さん、アトピー的自由計画 On the Radioの放送収録時に時には司会、パーソナリティ、屋外への突撃取材を実行してくださったサモさん、同じく時には司会、パーソナリティに挑戦してくださった女性お二人(田原さん、柾木玲さん)、同じく遠方の相生から神戸まで通いリアルでのミーティングにも積極的に参加下さり、ラジオでは司会、パーソナリティ、ラジオの開始、終了時のジングル・フラッシュ音源を作成・提供してくださったAnimalDさん、同じく、第19、20回放送収録時からゲスト参加下さり、本日イベントの前日の機材の積み込みから受付、リント布の入手方法、現状の入手困難な状況などの問題点を詳しく解説くださったあとっぷの山下さん、当サイトへコメント、トラックバック、フォームメールによるメッセージ送信で情報をお送りくださったブロガー、インターネットを利用されている多くの皆様、有難うございました。

最後に、本日参加くださった皆さん、今後の我々の活動の参考になる貴重なご意見をたくさん自由記述のアンケート用紙に記入下さり有難うございました。現在このアンケートのサマライズ作業を行なっております。本日のイベント実施までに蓄積したアトピーと服のアイデアの情報と同じく、当サイトで別途公開し、一般の方々、アトピー患者との間で共有できるようにしたいと考えております。

by アトピー的自由計画関係者一同

【3/27追記:参考】
朝日新聞兵庫版に当日の模様が掲載されています。
asahi.com:アトピー患者自らが病気について発信(2006年03月27日)

【3/27追記ここから】

asahi.comの記事のスクリーンショット
新聞社のサイトの過去記事コンテンツは日がたつと見えなくなったり、ディープリンク(記事そのもののURLへのリンク)を禁止していたりなどネット利用者の利便性に配慮していない問題がまだまだあるので、自衛策として記事のスクリーンショット画像おいておきます。

【3/27追記ここまで】

丁度よいタイミングで高山さんもイベントの感想を書いているので、重要な部分を以下にご紹介。

 当事者にとっては当たり前のことなので「これぐらいのことわかるだろ」と思って話をしても、伝わらないことは今回のイベントでもあったと思う。しかし、当事者が第三者に向けて説明しようという試みは、わかりやすく説明できるようになるまで回を重ねることで完成していく。今回のイベントに参加していただいた非アトピーの人は絶賛だけでなく率直な意見も伝えてほしい。アトピーのことを理解してもらいたいと願うアトピー患者に対して同情心は必要ない。対等な立場で意見が取り交わされるからこそ、より良い社会になるのだと思う。参加いただいた非アトピーの方々には、アトピーのことが第三者にわかりやすく説明できるようになる過程も是非見守ってほしいところである。

同じくあとっぷの山下さんのblogで当日の感想のエントリーが追加されているので少し紹介。

一般の方とアトピーの方とで、ディスカッションが違うのが面白かった。
一般の方は「へぇ~、そんなとこでこんなふうに困ることがあるのか?」
アトピーの方は「服」についての工夫よりも、体験談を話し、そして盛り上がる。(^^♪
イベント半ばでの締めは、なんと「キモノ着ましょう」と、お二人が登場されたことだ。
まああれはあれでアクセントになって面白かったと思う。
終了後は新長田のお好み焼きで軽い打ち上げ・・・。
取材に来ていたサンテレビが、なんと当日の18時のNEWSに出るって知らなかった。
思わず店のおばちゃんに「サンテレビにしてもらえますか?」
『アトピーの対策を考える会』・・・・・・・・・
『市民団体』・・・・・・・・・・
あのぅ・・・私達そんなんちゃうんですけど・・・
結局、「アトピー的自由計画」という言葉は一言もなかった。
大衆に理解できるようにしているとは思うが、「対策を考える会」かい?
なるほど・・・、でもそれも固有名詞のような・・、それなら、「アトピー的自由計画」のイベントという云々・・」としてほしかった気もする。
さて、朝日新聞からも取材が来ていたが、いつ掲載するのか教えてもらっておりません・・
いつなんでしょうか?
第2回はどんなスタンスで行くかな?
それはこれからの参加者にも関わってくると感じる。
時間軸で現在という瞬間を捉えますと、現在は1年前、或いはそれよりもっと過去からの結果であるのと同時に、現在は1年後、10年後の通過点かスタート地点でもあります。

我々が大切にしたい基本的な考え方がきちんと伝わったかな?一般の方で参加下さった方にもアトピーのことが少しイメージしていただけたのかな?、アトピーとは何ぞやと考えてもらえるきっかけになったのかな?などと考えつつ、当エントリーの冒頭で書いたように「我々は「アトピー患者2.0」のみならず、その先の3.0→10.0まで見越したあるべき姿も模索していかねばと」思うのでした。

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