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アトピー患者の医学生さんの投稿記事(1996/03/06)

Date: Wed, 6 Mar 96 21:54:12 JST
 現在私はアトピー性皮膚炎で大学病院に入院中です。その大学とは、僕の通っている大学の病院なので、暇を見つけては大学に抜け出して端末をいじっています。松岡さんのホームページもテキストデータとしてセーブして、病室のノートパソコンでみました。これもいま病室で書いています。今日は午前中降っていた雨もやみ、うららかな日差しがさしています。

 僕のアトピー性皮膚炎歴はものごごろつく前から現在進行中で、いま23ですからおそらく20年以上はあると思われます。僕は幼少の頃は非常に体が弱かったらしく、僕を取り上げた産婦人科の医者に「この子は20歳まで生きられないだろう」と言わしめたくらいです。たとえば、小学校の頃に は、アトピー性皮膚炎はもとより、小児喘息、また風邪を引いたらすぐに自家中毒に陥るなど、医者である僕の両親をしてもうだめかと思わせたことが何度もありました。ですから僕にとって全くの健康体を謳歌したのはこの23年間生きていて2年間あったか疑わしいくらいです。かといって僕はそのことについて不満は不思議と感じていません。20まで生きられないと宣告された人間が今こうして生きているのですから。

 副腎皮質ステロイドホルモンはvery strongにランクされるものを使っていました。成人型アトピー性皮膚炎が発症したと思われるのは昨年の夏なのですが、それまでは腋下や膝下などに限定して起こっていて、そこにその副腎皮質リバウンドについて僕に説明し、僕が考えていた以上の写真を見せられ、つらいだろうががんばるようにといわれました。

 ステロイドはまず、いきなり打ち切るのは多量に塗りまくるのと同じくらい危険性があるため、段階的に弱い薬に落としてゆき、一月で皮膚に塗布するのはワセリンだけという状況になりました。これが昨年の11月の状況です。その後、すぐに炎症は悪化し、上半身全域、下半身は内股という体表面積の半分以上を炎症で覆い尽くされてしまいました。

 おそらくこれがステロイドリバウンドだとおもわれたのですが、不思議なことに僕の場合顔には全くと言ってこの時期にはいいほどでませんでした。出ても額に少し出るくらいで、頬などはきれいなものでした。その後、12月、1月と一進一退を繰り返した後、1月末、今回の入院の原因となる炎 症の悪化がみられました。みなさんも表現されているように、組織液が汗のように流れ出て、悪寒がし、痒みよりも痛みがひどく、自律神経失調症に陥り40時間以上も眠れずふらふらとし、一人暮らしをしていたものですから誰の助けも借りられず、1週間自分で症状をみていたのですが手に負え ないと思い、入院しました。それが2月上旬のことです。入院中は、ワセリン塗布と、傷の部分に外用抗生剤を塗布し、痒みを抗ヒスタミン剤で押さえるという治療を行いました。抗ヒスタミン剤は許容量のほとんどぎりぎりを服用しています。

 現在の症状としては、炎症が収まっているように見えます。組織液が流れることも上腕部や肩、首筋などを除きなくなりました。それまで炎症のために38度弱あった熱も37度前後に落ち着きました。しかし、鏡の前で裸になって自分の姿を見てみると、未だに全身が真っ赤で、色素沈着をしてい る部分も多くあり、げっそりとしてしまいます。

 僕は医学生です。そして医者の父を持ちます。ですから、有効な治療法を打ち立てられずにいる医師の苦悩が痛いほどわかります。しかし、医師を信頼して加療してもらったのに悪化してしまった患者さんたちの苦しみも僕の体験を通してわかります。僕が今回の入院を通してわかったことは、患者には医学の世界、論理なんてくそくらえだということです。たとえ医学の世界で自分の病気が致命的な重症でなく、またその病気としても重症にランクされていなくても、十分それで苦しみ、また他人から

「あなたの病気はそれほど重症ではないよ。もっと世の中には苦しんでいる人が居 るんだよ」

といわれても、何ら慰めにならないのです。患者にとって、僕にとって僕を最大限に苦しめている病気はそれであり、文献上や他の患者の症状などは突き詰めれば自分の治療にはどうでもよいことなのです。余談ですが、この優先順位の関係は、はっきりと意識して医師に対しても主 張するべきです。そして社会にも。松岡さんが過去の投稿欄で、「薬事法に...」とか、無断転載についてかかれていましたが、松岡さんの、このただ一つしかない世界で松岡さんを苦しめているその病気に立ち向かう上で、それらの法律などは優先順位はごくごく低くされてよいのです。ですから、このような活動に対しては、僕は応援いたします。

 僕は今年に入り炎症が悪化してから、自分の病気がいったい何なのか、知るために免疫学、病理学、薬理学の専門書を漁りました。アトピー性皮膚炎に関する医学専門雑誌や論文も読み、またステロイドに関する文献も漁りました。

 その結果、いろいろ考えてみて、やはりステロイドは必要な薬です。ステロイドは今現在のところ、抗炎症剤としてはやはりもっとも有効なものです。僕自身ステロイドに恨み辛みは多々あります。だからといって、この有効な薬を断罪することはできません。ステロイドの必要な症状の人々 は、それによって苦しめられた人たちの何倍も、何十倍もいるのですから。しかし、やはり使用は入院時またはそれに準ずる監視体制があるときのみと考えてはいます。

 副腎皮質ステロイドよりも有効な抗炎症手段がみつかればいいのでしょうが、それにはおそらく長い年月を待たなければならないでしょう。僕は、僕の残り短い人生をこれにかけます。同じようにアトピー性皮膚炎を患っている方とメールでお話ししたとき、「自分の病気に対してそのように関われるのはうらやましい」といわれたことがありました。全くその通りだと思います。しかし、知りすぎているからこそ、自分の体に起こっていることが仔細にわかるからこそ辛いこともあるのです。

 と偉そうに書いていて、事件が一つありました。僕は痒みで眠れない夜は、といってもまともに寝れた日は入院中に皆無ですが、隣接している大学に抜け出してInternetのチャットなどをして遊んでいるんですが、この間の深夜、脱走がばれてナースステーションで偉い騒ぎになって病院中捜索されていたそうです。数時間後なに食わぬ顔で戻った僕を待ち受けていたのは超怖い顔をしていた婦長さんでこってりしぼられました。それでは長いメールになってしまいましたが、この辺で終わらせていただきます。


返事(松岡)

>みなさんも表現されているように、組織液が汗のように流れ出て、
>悪寒がし、痒みよりも痛みがひどく、自律神経失調症に
>陥り40時間以上も眠れずふらふらとし、一人暮らしをしていたものですか
>ら誰の助けも借りられず、1週間自分で症状をみていたのですが手に負え
>ないと思い、入院しました。それが2月上旬のことです。入院中は、ワセ
>リン塗布と、傷の部分に外用抗生剤を塗布し、痒みを抗ヒスタミン剤で押
>さえるという治療を行いました。抗ヒスタミン剤は許容量のほとんどぎり
>ぎりを服用しています。
> 現在の症状としては、炎症が収まっているように見えます。組織液が流
>れることも上腕部や肩、首筋などを除きなくなりました。それまで炎症のた
>めに38度弱あった熱も37度前後に落ち着きました。しかし、鏡の前で裸に
>なって自分の姿を見てみると、未だに全身が真っ赤で、色素沈着をしてい
>る部分も多くあり、げっそりとしてしまいます。

眼のほうに異常はでていませんか? 僕はずっと1.5と2.0だったのが、去年の4月にいきなり0.9に落ちました。 当時はまだパソコンにも手を出しておらず、明らかにステロイドの副作用だと 言われました。幸いまだ白内障にはなっていないですが、眼障害には気を遣って います。
 リバウンド症状はあなたのおっしゃる通り、筆舌につくしがたい苦しみを伴いますがこれを過ぎるとだいぶ楽になります。僕は一発でやめたのですが、リバウンドが何回も来て、確かに危険だと思いました。今はもういつ復帰してもOKですが。

ステロイドを切るのは本人の強い意志をどこまで維持できるかということのみに尽きると思います。 気掛かりなのは、折角ステロイドを切って長いこと耐えたのに、またゆるいステロイドを投与されて、いつまでたってもやめられない治療をほどこす自称「ステロイドを離脱させてくれる医者」もはびこっているということです。

 あなたがみてもらっている先生が外用薬をやめて、プレドニンの内服や注射で粉飾したり、免疫抑制剤の投与というとんでもないことをされていないことを祈っています。 ワセリンにステロイドを混入させて出す医者もいるので、気をつけて下さい。

> 僕は今年に入り炎症が悪化してから、自分の病気がいったい何なのか、
>知るために免疫学、病理学、薬理学の専門書を漁りました。アトピー性皮
>膚炎に関する医学専門雑誌や論文も読み、またステロイドに関する文献も
>漁りました。
> その結果、いろいろ考えてみて、やはりステロイドは必要な薬です。ス
>テロイドは今現在のところ、抗炎症剤としてはやはりもっとも有効なもの
>です。僕自身ステロイドに恨み辛みは多々あります。だからといって、こ
>の有効な薬を断罪することはできません。ステロイドの必要な症状の人々
>は、それによって苦しめられた人たちの何倍も、何十倍もいるのですから。
>しかし、やはり使用は入院時またはそれに準ずる監視体制があるときのみ
>と考えてはいます。

こう原病のように、使わなかったら2週間で死んでしまう病気には そうかもしれませんね。喘息の激しい発作のときもこれにあてはまるのかもしれません。 この場合には僕も否定はできません。(本心ではこれらの症状にも使ってほしくはないですが。) 僕は幸い喘息はなかったので、切りやすかったのでしょう。

>「自分の病気に対してそのように関われるのはうらやましい」
>といわれたことがありました。全くその通りだと思います。
>しかし、知りすぎているからこそ、自分の体に起こっている
>ことが仔細にわかるからこそ辛いこともあるのです。

あなたにはステロイドを絶対アトピー患者に出さない先生になってほしいです。 免許をとられるまでは、周囲の医療関係の方には教科書通りのことをおっしゃていただいてもいいと思います。資格をとられてから医師として生きられるなら、力がつくまであなた自身の立場を沈黙で守ってください。ある程度影響力が持てるところまでこられたら、あなたならステロイドに異論を唱えられると思います。

北里メディカルセンター病院の先生は、ステロイド離脱治療を始めて、皮膚科の上層部にクビにされました。いいことをやろうとしている先生がいても、その先生のいるポストによってはこんな理不尽なことがまかり通ってしまいます。あなたにはこの轍をふんでもらいたくありません。 力をつけてください。

神戸の労災病院もあなたの入院されている病院と同様、ステロイドを完全に切る方針を原則として 実践されています。ここで治った(切ってから約3年の学生さんです。失明後、手術されて今は眼も見えるそうです)患者さんとコンタクト(電話とメール)をとれました。もし、ご希望でしたらこの方のメールアドレスをお教えします。あなたの入院生活に役立つ情報が得られると思います。
(健康食品や機具などの売り込みもこの方からは来ませんので安心してください)
その時はまたメール下さい。


神奈川県、男性(3月10日)

Date: Sun, 10 Mar 1996 21:38:27 +0900
 はじめまして,神奈川県に住んでいます。松岡さんのホームページを見るのは,私の知り合いがアトピーで,ステロイドを止めて日本オムバスの湯治療法をすることになったのが発端です。その際循環器の浴槽への取り付けや,温泉の宅配料などで,100万円以上かかると言ってましたので。あぶない金もうけ団体にだまされるのではないかと危惧し,松岡さんのホームページから参考図書の記載等をコピーしてメールで送りました(当時彼女はNIFTYだけにしか入っていなかった,PEOPLEには入ったようです。インターネットは薦めているのですがまだやっていません)。彼女はその中の参考図書の一部は既に読んでいて,比較的近くにあり,また治療に対する姿勢が気に入ったため日本オムバスに決めたようでした。

 彼女の病状は,湿疹によるかゆみにより,(強くないステロイド剤をうまく使っていくという治療方針をとる)医者に数年通っていたようです。体全体ではなく首筋などの一部につかっていたようで,比較的軽い状態に見えました。

 彼女は,夜遅くの残業や休日出勤が日常的なセクションで仕事をしており,肉体的・精神的双方のストレスから病状が悪化したようです。またステロイド剤の危険性も認識してきたようで,昨年の11月にステロイドを止め,日本オムバスの温泉療法に入りました。

 12月より彼女は仕事を休職して治療をすすめ現在に至っています。話を聞く限りでは日本オムバスはカウンセリングがしっかりしているようです。ただ,当初の検診時より療養が遅れているが気になります。リバウンドも一番ひどい状態のようです。あと3ヶ月療養が必要と診断されているそうです。

 なにか釈然としないものを感じずにはいられません。アトピーは軽症の人を含めれば私の回りにも何人かいますし,それほど特殊なものではないと思います。治療により症状はよくなるようで(目にみえるかぎり)実は根元的な症状は悪化させてしまうステロイド剤により,(これは私のステロイド剤への解釈,15年以上前に母親に注意されたことがある)またそれが医者により行われたもので,それにより多額の金額や長期の療養(これだけでも凄いストレスです)を要している現状は,普通とは思えません。

 私は数年前から軽度の乾燥肌と花粉症で(すこしづつ悪くなっている),なんかこのところのアトピーや花粉症の増加を見ると,人間の社会活動自体が人間が住めないような環境にしてしまってきていることを実感させられます。松枯れ病は,マルノザイノセンチュウやそれを媒介するカミキリムシだけで起こるのではなくて,被害が道路沿いに多いなどから,排気ガスなどの影響を指摘していたのをNHKで見ましたが,人間も同様で,アトピーや花粉症は抗原だけで起こるのではなくて,きっとNOxや水道水に含まれる塩素や,その他の物質によって増幅されていると思わざるを得ません。

 ここ数年花粉症にかかったという人が私の周りには何人もいます。症状のひどい人の多くは抗アレルギー剤や,その他の医者の処方を受けていますが。根本を解決できないような対症薬は,なるべく使わずにすむのがいいとは思いますが,仕事をするためには仕方がないという人も多いようです。

 アレルギーがこんなにも身近な問題になっているのに,厚生省や環境庁は私の知る限りこの問題に対して積極的に取り組んでいるとは思いません。いままでの政治は業界とともに,長期的な視野が不十分なまま,成長し活発な建設を行ってきたと思います。これからは持続可能・循環・環境・生活者の利益を中心に考て欲しいものです。(もちろんこれは政治だけの問題ではなく我々の問題でもあるが。)


神奈川県の方へのお返事(松岡)

オムバスは藤沢市にある、あなたのおっしゃる宅配温泉業者です。
実は、僕の参考図書の中にも、このオムバスの本が含まれています。
感想文をご覧になったらおわかりと思いますが、

『地理的、金銭的理由で、僕は結局ここの治療を受けなかった』

というやつです。 この言葉の裏には2つの意味を込めています。

『ステロイドをやめたくなったことと、ここの治療方法を受けたかったかそうでなかったかは必ずしも同じではない』

『保険医療であれば、つまり、長期に入っても自己負担金額が少なければステロイドを完全に切ることができるのに、高額な場合、経済力の無い人にとってはここでも治せないだろうな。あとは、オムバスが本当に将来保険医療になるよう厚生省に働きかける気があるのかどうかだな。これがわかるまでここの治療は僕自身は受ける気が起きなかった』

  ということです。お金に余裕があれば、僕も受けていたかもしれません。ここまでホームページの読者の方に読み取って頂きたいと思います。 結局、ここの治療を試すことなく、僕自身殆どよくなってしまったのですが、これからステロイドをやめようと思っている患者さんは、安易に飛びつかず、判断材料にしてほしいと思います。(患者さんに経済力があれば、長期に入っても問題ないので、ここが患者によってとらえ方が違ってくるのでしょう。僕自身、ここの治療法を否定するつもりはありません。)
良くも悪くも判断材料と割り切れる確かな眼を、患者さんにも持ってほしいと思います。


製薬業界の方(元患者さん)の投稿(3月28日)

Date: Thu, 28 Mar 1996 02:28:14 +0900
始めまして!!
○○○○です。
驚きました。こんなにアトピーを生生しく論じているサイトがあるとは。 自己紹介/感想/意見/お願いの順に長くなりますが、お話しさせてください。 (非常に長いメールです。お暇の折りにでもお読みください。)

私は、○○県に住む、自身もアトピー性皮膚炎(完治済み)の○○○○製薬 の医薬情報担当者(医薬品宣伝マンといったところ..別名M.R./プロパー) をしている○○才のサラリーマンです。私はステロイド外用剤をお医者さんに 日々「使ってもらえるように」宣伝しています。

製品は○ンデ○ン-V/-VG/-DP,○ルメ○,フ○メ○ というステロイド剤の代表格のものを入社以来3年間継続して宣伝しています。 この中のものを一度は必ず使われたことがあろうと思いますが如何がでしょう か?

全てのページにお邪魔することが出来なかったので、勘違いがあろうと思いま すが言わせてください。

まったくの同感です。ステロイド剤の乱用により難治化してしまうことが分かっていながら処方してしまうお医者さんも悪いのですが、ステロイドの即効性 にのみ治療を依存してしまっている患者自身にも問題があります。

かつてステロイドが臨床の場に現われた時は外用でなく「注射剤」でしたが、 その頃、日本だけでなく世界的に「リバウンド症状によるショック死」例が 頻発し、数年で製造中止になった経緯があります。(今も適応を限定していく つか製品が販売されているのですが...)

  この頃は「世紀の万能薬だったのに残念だ。」と世界中のお医者さんが嘆いて いたそうです。(文献的にも伺えるところです。)

ところが、その後外用にすればそれほど危険がないことが分かり、世界中の 研究者が外用剤にすべく試みました。ステロイドは水に溶けやすく、油に全く 溶けないので、皮膚からの吸収が非常に悪い性質が有りますが、この研究が 実り、70年代後半には「臨床で利用可能なステロイド」が現われてきました。

それが余りにも「良く効く薬」「それまで難治皮膚疾患だったものをほとんど 完治させてしまう薬」だったので、世界中で使用も研究も大流行しました。

薬屋にとってものすごく「売れる薬」、お医者さんにとって患者を治せる/自分 の評判も上げる「いい薬」は今でも「開発ラッシュ」「誇大広告宣伝」が起り モウレツな販売拡大が行われていますが、この「ステロイド外用剤」もそのような 薬だったのです。それどころか、今でも「歴史的にこれ程バクハツ的に世界中で 売れた薬」は未だかつてありませんし、お年寄りのお医者さんは皆 「未だに信じてる薬はステロイドぐらいだよ。」などと言っている始末です。

ただ、80年代に入り、「患者さん」の側から

「一度は治せたのに、ぶり返すともっと酷くなる」

という訴えが目立ちだしご存じのようにある患者さんはこの問題を今のエイズ問題のように「告発本」にして出版する程の社会問題になりました。

文献的にも、このころの医学雑誌にかなりこの関係のものが目立ちます。 そしてこの頃から、「いい先生」が提案する「きちんとしたステロイド剤の 使い方」文献が出始めて、日本中のお医者さんも反省をはじめました。

80年代後半〜90年代初頭には完全に「正しい使い方」は確立しています。 そしてもう日本中のお医者さんはこの方法を十分理解していると思います。  なのに何故、いまだに乱用を起す「処方」が出続けてしまうのでしょうか?

文献ではありません。私自身の考えですが、

1)

「”直ぐ”治せる薬」を求めてくる患者さんがいて、お医者さんもそういう  患者さんの要望に答えなければならない。治せない医者は評判が落ち、  患者が来なくなる。こなければ、この非常に経営が苦しい医療環境で営業  を続けられなくなる。だから「今日も処方」する。

2)

ステロイド剤は未だに大変「売れる薬」であり、それを開発するメーカー  がいる。そのメーカーは利益の多くをステロイドに依存しているので継続  して売り続けなければならない。その為に少しでも「処方」量を落としたく  ないので、お医者さんに出来うる限りのお願いをし続ける。このお願いが  強固であればあるほど、お医者さんは「処方」をやめられなくなる。  だから「今日も処方」する。

3)

まだ、ことの重要性を理解する社会ではないし、よほど勉強家の先生でない  かぎり、この「おいしい薬」をやめる、又使用を控える事は現実的に無理だと  判断している。「薬価差」からの収入にたよる経営をしているお医者さんでは  「その差を大きく出してくる(メーカー販売戦略の常識)」ステロイドの  「処方」量を落とすわけにはいかない。   だから「今日も処方」する。

4)

「いい先生」がちゃんと即効性の薬は使用しないと説明しても「患者さん」  はその先生の前では理解した顔をしてたのに「本音では”直ぐに”治して欲  しい」ので、あちこちの医者に行く内、ステロイドを平気で出す医者に行って  継続処方を受けてしまっている。  だから、「治るものも治らなくなる。」

もし、あなたが4)のような経緯を経て来たのなら、失礼ですが「悪い先生」 を批判し、「糾弾」する資格はないものと、私は思います。ただ、4)の場合 アトピー性皮膚炎の発症は(自分で病状に責任を持てない)幼少期にかかる為、 その「親(ほとんどが母親)」が、無批判的にステロイドの処方に甘んじて きたことも考えられ、当人が気付いた時には、「難治化」しているという事も 考えられます。

ですから、一慨に責任を「患者さん」自身に向けることは出来ません。 では、誰がいったい悪いのか。

a)

この問題に気付いた研究者が、その当時に厚生省に訴え、日本中に警告を発して いれば良かったのか?

b)

始めの「患者さん」がマスコミに危ないぞ!気を付けろ。と強く世間に訴えて いれば良かったのか?

c)

そのともステロイドのメーカーが悪いのか?

d)

厚生省の対応が甘かったのか?

e)

単に、(上の)「親」が悪いのか?

実は今でも、アレルギー関係の学会があれば、そのロビーで専門家達の間で良くこの 「犯人究明談義」があるようなのですが、未だ「真犯人」は見つかっていそうです。 公式なお話ではありませんが、ある先生がこう言っていました。

上の(a)〜(d)までは、実は実際にかなりのキャンペーン的なことやっていた のですが、うまくいかなかったのだそうです。

それは、悲しい事を言ってしまいますが、

「歴史的に事実を背景にする法則的なも のとして、何か社会問題が起っても、その事で人が一人、命を落とすことぐらいの 刺激がないと、世の中はその事を反省できない。ステロイドを含めて医薬品では(今なら死亡例が一例あるだけで、添付文書に「警告」が付きますが)何例か統計的 に判断出来る要素がないと、日本全国で使用にブレーキをかけることなど、 専門家や厚生省の人間が何を言おうと、世間は反省できない。」

のだそうです。これは当事者の逃げ口上のように聞こえますが、一理ある説です。 また、「親」が悪いという事もこういった背景を考えれば、責任を向けるのには無理 があります。

その先生はまた、

「全ての人が悪いという、全体責任的なことも言えるけども、 これは、医薬品と日本社会の間の構造的な問題が原因だ。」

と言っています。 そういうこの先生も実は「ステロイド安易処方派」の先生なので、こんな事よく言える ものだという感じですが。

なお、

「ステロイド外用剤は注射の時と違い、人がほとんど亡くなっていない。 そういう風にメーカーも作っているし、だからこそ「処方」しやすい。 又『良く効く薬』だから医者は手放せないんだ。 この問題を解決するには、当事者の「医者」か「患者」がエイズ問題のように大大的に問題解決をマスコミを巻き込んで世間に訴えるしかないんだ。ただ、世間が それに注目してくれる材料が、この問題にはあまりに希薄なので過去、同じようにワイドショーに出てまで訴えていた「患者さん」たちは失敗してきているんだ。何か、いい「ネタ」を見つけないとやっても同じことだな。」

という結論の話で終わっていたのですが。(ここまでいってたかな? ちょっと記憶があいまいです。)

長くてすいません。 意見を言わせてください。 そちらのサイトでは「実名」で「悪い先生」を何人か挙げていますが、あれはやりすぎではないかと思います、私は。

まず、インターネット上のモラル「ネチケット上」問題を感じます。お気持は 私も過去同じように苦労して医者につっかかっていった経験もありますから 完全ではなくとも分かる気がします。

でも、問題の本質を考えれば「解決策」というよりは「個人の怨念」からくる フラストレーションの解消にしか感じられませんし、折角最近インターネットの マナーが叫ばれている中、公衆情報源にあのような「あからさまな個人攻撃」は 見た目を派手なものにするだけで、結果的には「女性写真」でアクセス数を稼ごう とする人々と同じ目的にのせているのではないかと、閲覧者に思われてしまう 気がしてなりません。

ここまで私が言うのは、私はあなたのサイトのコンセプトに大変共鳴した者の一人 なので、できれば「ポピュラーサイト」になるまえに、ネチケットについて再検討 をお願いしておきたかったものですから。

(マスコミはそういうものを好んで扱いたがるのですよね。ほんとうんざりです。 最近のテレビでの扱いには。)

また、私はM.R.でありながらこんな感じなので、会社でも、うとんじられていますが、 この私でさえ、むしろ相手の「悪い先生」の味方をしたくなってしまいます。 (かわいそうで....)

確かに悪いことをしてしまったのだから、真っ先に反省させたい医者では ありますが、問題の解決をするなら、(私もしていますが、)「ことの重要性を 本人の理解できる方法で伝える事」が先決だと思います。

つまり、私は会社で利用できるので、徹底的に文献データベースを調べ尽くし、非のうち どころがないくらいの「医学文献」(特に、その医者が良く読む医学雑誌やその 医者の卒業した医大の偉い先生が書いた文献)を系統的に説明できるように準備 しておいて、

「これでも、先生は今のままの『処方』を続ける気ですか?」

と言ってやるのです。医師は卒業した時点から修士号をもっているようなものな ので、いわゆる「科学者」の面を持っています。始めは「経営がどうの」「 患者が納得しないがどうの」と逃げようとしますが、誠意を持って間違いのない 話しをすれば、必ず、納得し「いい方向へ」変ってくれるものです。

シロウトは医学文献を手に入れにくくなっているので、ある程度下調べしたら 是非、メーカーの「お客様相談室係」へ電話で相談してみてください。

いきなり「これこれの文献をくれ!」といっても、くれないものだと思いますが 事情をよく説明すれば、きちんと「無料で」文献をそろえてくれるものと思います。 (私自身にその権限があればいいのですが、何せノルマ達成したことない社員な もので......スイマセン)

やる気を感じさせる説明をすれば、メーカーの相談係はだいたい「そういう事が 好きでやっている人が担当なので、抵抗してもシツコクお願いすれば協力して くれる筈です。

非常に長い文章ですいません。
お願いは、リンク依頼です。
私のホームページで、今「○○○○○○○」を紹介するコーナーを作っている のですが、その中のなん箇所かに勝手な「文中リンク」を張らせていただきたいの で、よろしければ、O.Kのメールをいただけないでしょうか?

P.S
今日も深夜まではまってしまいました。失礼しました。 ところで、「糾弾」するならメーカーや厚生省を先にやる方がいいですよ。 こちらのほうが、「今時」の注目話題ですし。

ただし、○○製薬を取り上げる時は、私の個人批判や「私の個人名」「この メールの全文掲載」などはしないでくださいね。 私、今会社を追い出されると「Macintoshのローン」が払えなくなってしまうの のです。月給少ないんですよ。うちの会社って。^^;

また、お怒りのメールなら幾らでもください。

毎日メールチェックする生活には慣れてきたところです。


ペンネーム:吹田のロビさんの投稿(3月30日)

Date: Sat, 30 Mar 1996 19:34:20 +0900
私は小児科医を3年やった後、研究職をしている者です。自分自身軽いアトピー性皮膚炎があり、非ステロイド性抗炎症剤をときどき外用しています。松岡さんのページを興味深く見せていただいており、医師としていろいろと考えさせられております。

さて、記事の内容について質問があります。

(製薬会社の方の投稿にあった)80年代後半から90年代初頭にかけて確立した「正しいステロイド外用剤の使い方」を松岡さんは認めておられないように思われますが、その根拠は何でしょうか?

私も自分なりに文献を調べてはいますが、「正しいステロイド外用剤の使い方」を否定する根拠となるものは探し得ていません。投稿されていた医大生の方や、皮膚科の先生もそのように思えます。

松岡さんをひどい目にあわせた「ヤブイシャ」は「正しいステロイド外用剤の使い方」をしていなかったのではないでしょうか?


吹田のロビさんへ(松岡より)

製薬会社の方にお返事したコメントと重複しますが、以下にまとめて私の思うことをお話しします。きついと思われるかもしれませんが、ポイントをおさえてお話しします。

(1)「正しいステロイド外用剤の使い方」は80年代後半から90年代初頭には既に確立しているということに対して

これが仮に正しいとしましょう。僕はステロイドを1982年から1994年まで使いました。トプシムが効かなくなったのが1993年です。百歩譲って、お医者さんの間で一般的にいわれている『正しい使い方』が当時確立していたとしてもこれは僕にはあてはまりません。ということは、僕の使い方が悪かったということになります。冗談じゃない、ふざけたことをいうなというのが僕の本音です。

(2)「ヤブイシャ」は「正しいステロイド外用剤の使い方」をしていなかったのだろうかということに対して

この疑問の持ち方自体が既に間違いです。お医者さんの典型的な言葉で、耳にタコができましたが。「ヤブイシャ」がアトピー患者の僕に「正しいステロイド外用剤の使い方」をしたからひどいめに合ったということです。お医者さんにはこの言葉の意味が理解できない方が多いようですね。これを理解できるお医者さんは、いったい何人いるのでしょう?目糞ハナクソを笑う状態だということにはやく気が付きましょう。禅問答のような感じになってしまいましたが、お医者さんにはもう少しわかりやすく説明しないといけないのかもしれません。

アトピー患者は、

「間違った処方をする先生にみてもらったからこんなにひどくなったんだ」

と鬼の首をとったようにお医者さんに怒られ、

「私の指導通りステロイドを使えば副作用はない」

と言いくるめられながら前の病院と同じステロイドをもらい、

それでもひどくなると、

「君の場合は特殊だ」

「君は特異体質なんだからこまめに掃除しなきゃ」

等の的外れで屈辱的な説教まじりの言い逃れをされて、それでもステロイドを出されるということを繰り返してきているのです。挙句の果てはあの写真の状態を耐えねばならない。この患者のお医者さんに対するいらだちは僕だけではないはずです。これを何度も言わせないでください。疲れました。

ここまで話してもお医者さんという人種にはこの経緯の重要性を理解するのは無理でしょう。文献情報は、一般的には確かに定説として重要でしょう。よく覚えておいてください。それにあてはまらない『特殊な事例』と一言で片付られている患者が何100万人もいるということです。あなたも患者としてそのいらだちを持たれてませんか?

『ステロイドを安全に使える』なら、ぜひお願いしたい提案があります。以下のものです。

厚生省の役人や、製薬会社の社員や、医者の家族のアトピー患者に『ステロイドを上手に10年ぐらい使わせて』統計をとったらいかがでしょう?『安全』なはずですよね。水俣病のチッソの社長は、原告の前で、水を飲むというばかなパフォーマンスを一瞬やりました。

もし、これが実現するなら、この対象になる患者さんがかわいそうです。今後の10年間の統計楽しみにしています。あいにく僕は今さらこの統計には協力する気はさらさらありません。僕自身、ステロイドをもうやめて2年近くたちますからね。 「ヤブイシャ」は「正しいステロイド外用剤の使い方」をしていなかったのではという裏に、

「少なくともおれはそんなひどい医者じゃないよ」

「一部の悪い医者と同じにしないでね」

的なアピール論法を含まれてのご質問ならば僕には通用しないぞということを一言申し上げておきましょう。